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4月18日 [小説 女セクハラ日記]

連載ものです。

前回→『オーナー登場』

男の手もええよなぁ[黒ハート]

つーか、奥さん、見た見た?[ひらめき]

直人の手をさ[ぴかぴか(新しい)]


直人ってば、あんな女の子みたいな外見してて、意外と手は男らしくて骨ばった感じなのよ[ハートたち(複数ハート)]
素敵[るんるん]

男のお尻もいいけど、手も好きだなぁ[黒ハート]

直人のヤツ、あの手で彼女にあーんな事やこんな事を・・・[ムード]


ヤベ。鼻血が出そう。

紗香、落ち着け落ち着け[あせあせ(飛び散る汗)]


今日、あまりに直人の手が素敵だから、握りまくってやったわ[わーい(嬉しい顔)]

うふふ。明日も握っちゃお[るんるん]

ホント、あの手と顔と、首から下はマキだったら、いつでも私は付き合うのに・・・、残念(笑)

あ、そういや、私、彼氏いない歴が3年になるわ(笑)

仕事ばかりやってたから忘れていたよ~[あせあせ(飛び散る汗)]

けど、仕事が楽しいし、男の体も触れるから別に彼氏いなくてもいいけど・・・[たらーっ(汗)]

エッチな事がしたいッス、直人のあの手を見たら[ハートたち(複数ハート)]


はぁ。読み返してみると、この日記、バカな事しか書いてないなぁ。

まあ、私がバカだからしょうがないか[るんるん]

今度の新人直人歓迎会が、めちゃめちゃ楽しみ[手(チョキ)]

神様、どうか私が酔っ払って、直人を襲いませんように[あせあせ(飛び散る汗)]

んじゃまたな[手(パー)]

おやすみなさい[眠い(睡眠)]

新人歓迎会

月に一度か二ヶ月に一度、お店の清掃を業者に頼んでやってもらうために臨時休業になる。

その日を狙って、菊池直人の歓迎会をする事になった。

平日は会社員の直人は、貯まりに貯まっている有休を取らないとならないために、歓迎会の翌日にとる事にした。


場所は紗香の行きつけの居酒屋ではなく、少しお洒落な雰囲気の洋風居酒屋だった。

ここのお店の宴会プランは、二時間飲み放題で食べ物もそこそこ出すようで、酒の飲みたい紗香と食事のしたい直人にはぴったりだった。

とりあえず名前だけの幹事の槙村が一番に店に着くと、直人、紗香、富岡兄弟、麗子と続けてきた。

「彬と瞳は一緒にくるんじゃない?」紗香は別料金でもう生ビールを頼み飲んでいた。

彬と瞳は、周りがわかるくらい仲が良くなっていた。

どうやら付き合いだしたようだったが、本気モードの瞳に対して、彬は麗子にちょっかいをだしているから、長く続く関係とは思えなかった。

集合時間の18時を10分ほど過ぎると、店員がもう始めていいですかと聞いてきた。

「時間を守らないヤツが悪い。もう始めちゃって」戸惑う幹事の槙村を無視して紗香が言うと、雰囲気的に彼女がホントの幹事と思った店員はわかりましたと返事をして、飲み会をスタートさせた。

お酒の飲めない直人以外は、皆、ビールやカクテルを飲んでいた。

飲むときはあまり食べなくて、直人の事を食いしん坊と思っている紗香は、直人にいらないですと言われても、これでもかとばかりに食べ物を彼のテーブルにたくさん持ってきた。

そこに30分遅れて、彬と瞳が申し訳なさそうにやってきた。

「つーか、おまえら誰?何しにきたの?」すでに酔っ払いな結希は遅れてきた二人に絡んだ。

槙村は紗香の隣りを死守してたが、結希の酒癖の悪さを知っているから立ち上がり、結希と彬達の間に入った。

「結希ッ!何してんの?ハウスッ」気づいた紗香が結希に怒鳴ると、ハッと思った結希がおとなしく紗香の隣に座ってきた。

「結希はおりこうさんねぇ」紗香は結希の頭を撫でながら、ギュっと抱きしめる。

あの怖い結希が、おとなしくなるなんて・・・、と直人は驚きながらオレンジジュースを飲んでいた。

立ち上がったが、紗香の鶴の一声で何もなかったため、行き場を失った槙村は仕方なく麗子の隣りに座った。

「槙村さん、何をモタモタしてるの?!」紗香と結希の抱擁にムカムカしている麗子は、槙村に八つ当たりをした。

麗子の鋭い瞳に槙村は首をすくめて、紗香に視線を戻した。

結希に飽きた紗香は、自分の反対側隣りにすわる靖の肩を抱いたり、体を抱きしめたりして、ラブラブなオーラを出している彬と瞳の邪魔をしたりして、かなり酔っていた。

槙村相手にぶつくさ言ってた麗子だったが、紗香が結希を連れて麗子の隣りに来たので、さっきまでの不機嫌がどこかにいってしまった。

「さ、マキ、あとは若い二人に任せて・・・」紗香はそう言いながら、槙村の腕を取ると席を替えた。

紗香たちがいなくなると、麗子のことをカワイイと思っている結希は、彼女を喜ばそうと呂律の回らない口調で麗子を笑わせた。

一方、あれだけラブラブだった彬と瞳は、彬が麗子や紗香、店員の女の子やお客さんに笑いかけるから、隣りに座ってても瞳は怒って口も聞いてなかった。

そんな二人の仲違いの原因の一つを作った紗香は、隣りに座る富岡靖と口も聞かずに寂しそうにウーロン茶を飲む直人の隣りに座った。

「湯川さん・・・、大丈夫ですか!?」自分の肩に倒れこんできた紗香を、直人は心配そうに彼女の体を支えた。

「こいつ、いつも酔うとこんな感じだから大丈夫」そう言いながら、槙村はさりげなく紗香の体を引き寄せた。

「直人は優しい男の子だねぇ・・・。マキ~、眠い・・・」ニ時間飲み放題をいい事に、赤ワインを一人で一本開けた紗香は、槙村の肩を借りてうたた寝を始めた。

槙村はやっと落ち着いたか・・・、と安心しながら紗香の可愛い寝顔に見惚れていると、瞳の怒鳴る声がした。

せっかく紗香が自分の肩を寝ているのに、とムカつきながらも直人に紗香を頼むと、槙村は立ち上がって、瞳たちがいる席に向かった。



「一体どうした?」槙村は穏やかな口調を作りながら、大声で彬にまくし立てている瞳に言った。

「槙村さんには関係ないし」瞳は槙村をにらみつけながら、声を上げた。

「関係ないじゃないよ。ここのお店に迷惑をかけてしまうだろう?」槙村は冷静に言い聞かせるように、瞳を見た。

瞳は自分というものがありながら、麗子や紗香、他の女たちに目をやっている彬にムカついてしょうがないのだ。

自分が原因なのに、彬はそっぽを向いていたが、驚いたように目を見開いた。

「!?ま、槙村さん、あれ、いいんっスか?」何が、と彬の指差す方に振り向くと、紗香が直人にキスをしていた。

それもディープ・・・。



直人は今、自分が置かれている状況が理解出来てなかったが、頭を思い切り殴られたような衝撃を受けていた。

それは、紗香にキスをされたという事より、紗香とのキスそのものが直人には驚きだった。

うたた寝から目を覚ました紗香は、側にいるのが直人だと気がつき、彼の耳元で何かを囁くと、いつものくせでキスをしていた。

紗香のキス魔ぶりは、ここにいるバイト歴の長い富岡兄弟や麗子や槙村も餌食にしていた。

直人は奥手な方だったが、今までそれなりに、今だって彼女とキスはしているが、こんな紗香がするようなキスは誰一人したことがなかった。

うっとりとしている直人から唇を離すと、座敷なのをいい事に紗香は直人の体を押し倒した。


これ以上はヤバイと思いつつ、焼きもちの為ムカついている槙村は直人から紗香を引き離した。

引き離された紗香は、槙村の肩に顔を埋めてまた眠りの世界に行った。

「菊池、大丈夫か!?紗香から離れた方がいい。また襲われるぞ」槙村がそう怒鳴るが、直人はまだ夢心地な表情をして、紗香さんに襲われるなら構いませんと言って、周りを凍りつかせていた。

紗香はキスが上手いから、直人がこう言う気持ちは、槙村だって同じだからよくわかった。

「おい!!おまえ、何を言ってるかわかってんのか?!」今のキスシーンで酔いも醒めた結希が直人を抱き起こすと、細い両肩をつかんで強くゆすった。

直人は槙村の肩で眠る紗香から目が離せなくなった。

「スイマセーン。そろそろ終了時間です」店員の明るい声に、紗香を抜いた全員が我に返った。


皆揃って、店の外に追い出され、それぞれが、口げんかをしている彬と瞳、いい感じの麗子と結希、一人の世界に入りつつ紗香の心配もしている靖、眠っている紗香をベンチに座らせ、槙村と直人がにらみ合いをしていた。

「僕はお酒飲んでないし、車で来てるんで、紗香さんを送って行きます」直人は紗香の頭を引き寄せながら、腕に抱いた。

紗香の髪の毛から香るシャンプーか香水の香りが直人をまたもや幸せな気分とさせた。

「菊池はもう帰っていいよ。酔っ払った紗香の面倒はいつも俺が見てるからさ」紗香が起きると可哀想と思い、槙村は無理には自分の方には引き寄せなかった。

「・・・。二人で一緒に行けばいい・・・」靖が心配そうに紗香の顔を覗きこみ、彼女のさらさらな髪の毛を優しく撫でた。

靖の言葉で、二人で紗香を送っていく事になった。

「槙村さん、見た目は完全に菊池さんに負けているから、ちょっと分が悪いけど・・・。ドンマイ」直人が駐車場に車を取りに行っている時に、麗子に言われたこの言葉は彼女なりに槙村を励ましているつもりだったが、言われた本人は、かなりへこんだ。

そして、爆音を立てて走る直人の愛車のRX-7が槙村の前で止まった。

あまりに直人のイメージとかけ離れている為、その場にいたものは驚いた。

「槙村さん、狭いですけど後ろに乗ってください」いつものおとなしい雰囲気はどこに行ったのか、テキパキとした様子で直人は槙村に指示をした。

「紗香はどうすんだよ?」

「僕が運びますから、モタモタしないで早く乗ってください」不満を言う槙村を追い立てながら、彼が後ろのシートに乗ると、素早く助手席を直した。

「菊池さん、紗香さんをお願いしますね」麗子が直人に言うと、彼は軽く微笑んで頷いた。

そして、靖の肩を借りて寝ている紗香を抱き上げると、こんなに細い直人のどこに力があるのかと驚いている槙村達を尻目に、紗香を落とす事もなく無事に助手席に乗せた。

直人のこの変わりように槙村は驚き、ただただ紗香のマンションの道順を教えるだけだった。


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Brownie

そうなんですよ。手って男の人の手、女の人の手があるんですよねぇ~ふふ。

で、それからそれから、マンションに着いて、どうなる?
直人が変貌する?いやー馬鹿まじめな奴?ダメじゃん(笑
by Brownie (2008-07-21 00:37) 

EF135L

事細かにその指で、まさぐるその瞬間をアップしたなら
官能の世界へと引きずり込んだに違いありません。
しかし様々な想像力を思い浮かべさせてくれます、ありがとう。
だめですって、そこは…?
by EF135L (2008-07-21 07:04) 

やっちゃん

Brownieさん、ダブルでありがとうございます!!

さて、直人はどうなるでしょうかねぇ(笑)

可愛らしい男の子って、意外と・・・(笑)

EF135Lさんもダブルでありがとうございました!!

そうです。
ご想像にお任せします(笑)
by やっちゃん (2008-07-30 15:01) 

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